砂漠の天使 「スナネコ」ってどんな猫?
世界最小の野生の猫「スナネコ」。
可愛らしい外見と小ささから「砂漠の天使」と言われています。
日本では那須どうぶつ王国とこうべどうぶつで展示が始まり、ニュースにもなりましたね。
スナネコとはどんな猫なのでしょうか?
スナネコの暮らしや盗聴的な耳や肉球、子猫について、生息地や絶滅が危惧されていることなど調べられる限りを調べてみました!
- スナネコってどんな猫?
- スナネコはどこに住んでいる?
- スナネコは何を食べている?
- スナネコは夜行性
- スナネコの繁殖
- スナネコの寿命は?
- スナネコの英語名は?
- スナネコの研究が難しいわけ
- 日本では動物園で見ることができる
- スナネコは絶滅危惧種?
- 砂猫が絶滅が危惧される理由
- スナネコの飼育は難しい
- スナネコが幸せに生きられるために
スナネコってどんな猫?
現在人間と一緒の暮らしている猫たち(イエネコ)の祖先も砂漠出身ですが、スナネコはその名前のとおり、砂漠に住む野生の猫です。
大きさ
イエネコの祖先はリビアヤマネコですが、リビアヤマネコは体長が45cm〜80cm、体重が3kg〜8kgとされています。
リビアヤマネコの外見は日本でも良く見かけるキジトラ猫にかなり似ているのですが、キジトラ猫よりも足が長いとか、少し異なる点もありますが、外見から大きさまでそっくりと言えるでしょう。
それに対して世界最小の野生種の猫スネネコはどのくらい小さいのでしょうか。
大人のスナネコの大きさ
体長 32cm〜52cm
体重1.3kg〜3.4kg
普通の猫のほぼ半分の大きさですね。
最大の3.4kg程度になるのはオス猫だと思いますが、普通の猫だと小さめの大人のメス猫程度の大きさです。
1.3kgというのは普通の猫だと生後2.5〜3ヶ月程度の大きさです。
大人になってこの大きさなのでかなり小さい猫ちゃんですね。
スナネコの赤ちゃんの大きさ
大人の猫でこれくらい小さいのなら、赤ちゃんはどのくらい小さいわけ?となんだか心配になってしまいます。
那須どうぶつ王国で生まれたスナネコの赤ちゃんを見ると、体重は59g。
私は保護活動をしているので毎年10頭前後の乳飲み子を育てるのですが、生まれたばかりの乳飲み子(乳飲み子で捨てるとかやめて欲しいですが、本当に)は健康状態にもよりますが、70g前後であることが多いです。
捨てるような飼い主の元で生まれた子達なので、母猫も十分な栄養をもらっていない可能性が高く、大切にされている猫が産んだ赤ちゃんよりも小さめかもしれません。
それでも、兄弟が多くてかなり小さく生まれてしまったとか、生まれた瞬間から栄養状態が悪いとかで極端に体が小さいということもありますがだいたい70g程度はあることがほとんどです。
たった、10g程度の差?と感じるかもしれませんが、全体重が数十gしかない子猫の10gの差ははかなり大きい。
そこから考えてみても、スナネコは赤ちゃんの大きさもだいぶ小さいということになります。
体が小さい赤ちゃんが生き延びるのは大変なことです。
事実、那須どうぶつ王国でうまれた子猫も3匹のうち、1匹しか育ちませんでした。
普通の猫でも乳飲み子を育てるのはとても大変です。
体が小さいのですぐに低体温になってしまうし、下痢や嘔吐ですぐに脱水症状を発症してしまう。
そして、ちょっぴりしかミルクを飲めないので、最低でも3時間おきにミルクが必要だし、空腹の時間が長いと低血糖で死んでしまうリスクもある。
体が小さい子を育てた経験もありますが(その子は現在でも体重が1.8kgしかない)、ほんのちょっとしかミルクを飲めないし、四六時中心配しどおしでした。
那須どうぶつ王国のスナネコの赤ちゃんも生まれてすぐ低体温に陥り、人工飼育で育てられたのですが、この子の命を守り、成長させるのは本当に大変だったと思います。
スナネコの被毛
スナネコの毛色は砂漠に生息するため、淡い褐色〜明るい灰色といった砂漠の砂に溶け込むような色をしています。
背中側の方がやや濃い色でお腹の方の毛の色は背中に比べると淡い色になっています。
お腹の部分の色が薄いというのは多くのイエネコと同じですね。
顔には目の端から明るい茶色の縞模様が1本あるのが特徴的です。
前足や尻尾の先の方にも、顔の縞模様よりももう少し濃い色の縞模様があります。
頭から背中にかけても薄い縞模様が見られますが、この縞模様は個体差があるようでトラようにスナネコみんなあるわけではなく、縞模様が薄くてほとんどないように見える子もいるようです。
日本で見かける猫の中でスナネコのような毛色の猫は珍しいですが、ちょっと似ている猫はいます。
うちの保護っ子、ニーナさん。
人間、あまり好きじゃない。
毛色がスナネコっぽい?
イエネコの祖先であるリビアヤマネコはどうやら外群的に見るとスナネコのグループのようなので、日本にいるペットの猫たちにも稀に似たような毛色の子もいるかもしれませんね。
スナネコの被毛は密集していてとても滑らか。
砂漠地帯に住んでいるのに、毛が密集?とちょっと不思議に感じますが、毛が密集しているのは、砂漠の砂や暑さから身を守るためです。
人間も真夏の太陽の下では、素肌を晒した方が熱いですし、日焼けもしてしまいますね。
猫も同じです。
被毛と被毛に含まれる空気の層が暑さから猫の体を守っているのです。
密集して滑らかな毛であれば、砂に悩まされることもありませんね。
犬や猫をサマーカットする人がいますけど、あれはむやみにやるとかえって危険だし、犬や猫にとって全然快適ではないってこともありますから注意が必要です。
スナネコは中東、中央アジアにも生息しているのですが、その地域には冬季には寒さが厳しい場所もあります。
そのような場所に住んでいるスナネコは被毛が厚く、長くなり最大5.1cmにもなるそうです。
そのくらいの長さになるともはや長毛と言っていいかもしれませんね。
スナネコの住む砂漠は暑いだけではなく、寒さも厳しく、夜になると日本の冬並みに寒くなる地域もあります。
スナネコの被毛は暑さにも寒さにも対応したものであり、厳しい野生環境で生き抜く体の機能を持っているのです。
スナネコの耳
スナネコの耳は、顔の大きさと比較してみると普通のイエネコよりも大きいです。
砂漠は非常に乾燥しているので音が伝わりにくい環境です。
音の正体は空気の振動ですね。
空気がない宇宙空間で音は存在しません。
音は空気の密度が高い方が伝わりやすいのです。
空気の密度が高い=湿度が高い状態です。
スナネコは音が伝わりにくい環境に住んでいるうえに、スナネコの獲物になるものは小動物なので出す音もほんのかすかなものです。
そのかすかな音をとらえるために大きな耳が必要なのです。
スナネコの耳は音を聞くことに特化した構造になっています。
外耳道という耳の中にある音を伝えるための器官は一般的なイエネコより2倍も長いことがわかっています。
そのため、スナネコは一般的なイエネコよりも聴覚の能力が優れており、より小さな音やより遠くの音も聞くことができます。
スナネコの耳がある位置は普通の猫と比べて少し離れていますね。
そして頭の形は幅が広い横長です。
これは岩の間を身を潜めて移動することを可能にするためです。
耳の内側は長い被毛で覆われており、耳の中に砂が侵入するのを防いでいます。
スナネコの肉球
スナネコの肉球は普通のイエネコとちょっと違います。
スナネコが生息する砂漠の砂は昼間には50℃にもなることがあります(それ以上にも)。
普通に火傷する危険がある温度です。
その高温の砂から足を守るために、スネネコの足の裏には肉球を覆うほどの毛が生えているのです。
砂漠には日光を遮るものがなく水分も少ないですね。
水は空気に比べると熱し難く冷め難いので、水分が多い環境だと寒暖差が少ないです。
水分が極端に少なく日光を遮るものもない砂漠では、砂は直射日光を受けて気温以上になりますし、夜には零下になるほど厳寒な気温になることもあります。
その激しい熱さだけではなく、寒さからも肉球を守るために足の裏にも長くて密集した被毛が生えています。
スナネコはどこに住んでいる?
スナネコという名前の通り、砂のあるところ=砂漠地帯に住んでいます。
イエネコの祖先であるリビアヤマネコも砂漠地帯に住んでいますが、リビアヤマネコは砂漠以外にもサバンナや灌木地帯、森林地帯(亜熱帯を除く)など広く分布しているのに対して、スナネコは年間降雨量が20ミリメートル未満の砂漠地帯や乾燥した低木で覆われた草原を中心に生息しているようです。
モロッコの西から東エジプト、スーダンのあたりまでのサハラ砂漠や、イラン、トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、シリア等で存在を確認されています。
アラビア半島全体に生息していると考えられますが、パキスタンなど生息が確認されていない国もあります。
スナネコの生息域は西アジアから北アフリカまで転々と存在しているのですが、それはスナネコの生態をまだまだ確認できていないせいなのか、スナネコが確認されていない地域で絶滅してしまったからなのかは明らかではありません。
スナネコは何を食べている?
スナネコは小さくても真性の肉食獣です。
小動物を狩って食料とします。
スナネコの獲物となるのは、昆虫や小さなネズミ類、ウサギや小型の鳥の他に、トカゲや蛇なども食べます。
スナネコが生息する地域では、スナネコは「穴を掘る猫」、ヘビハンターとして知られています。
ちいさくてかわいい外見とは裏腹に、蛇を狩るのが上手なのですね。
スナネコ、すごい!
スナネコは砂漠に住んでいるために、ほとんど水を飲む事はありません。
水飲み場があり水を飲むことができる場合はもちろん水を飲みますが、そうではない場合は獲物を食べることによって水分補給をしています。
イエネコもその傾向があり、なかなか水を飲んでくれないのは元々は獲物を食べることによって水分補給をしたからなので、カリカリだけでなくウエットフードも与えるようにするといいですね。
捕食される側になることもある
ネコは小さい肉食獣ですので、捕食される側になってしまうこともあります。
スナネコは野生の猫の中で最小なので天敵が多いです。
ジャッカルやフクロウ、蛇、遊牧民が飼っている犬などがスナネコの天敵となります。
スナネコは夜行性
スナネコも他の猫種と同じように夜行性です。
砂丘や低木の下に穴を掘ってその中で暑い日中を過ごします。
時には他の動物がほった穴を利用することもあるようです。
砂の表面はとても高温になるのですが、砂の下は冷たいそうなので、ちゃんとそれを利用しているのですね。
スナネコは完全に単独で過ごす動物なので、普段はひとりきりで生活します。
巣に他のスナネコと一緒に住むなんてことはないようです。
夕暮れ時になると巣から出てきて、周辺の安全をじっくり確認してから狩りに出掛けます。
安全確認に要する時間は、約15分。
15分って結構長いですね。
スナネコはとても小さい猫なので危険隣り合わせの野生の世界で生きるには、用心深いことはとても重要です。
しかし、狩りのための移動距離は結構長く、5km〜10km。
小さい猫ちゃんが一晩に5kmも移動するとは、結構な運動量です。
夜明けには巣穴に戻ってくるのですが、再び十分に安全確認をしてから、ねぐらに戻るようです。
スナネコの繁殖
スナネコは普段は単体で暮らす動物なので、繁殖の季節になると大声で鳴いて相手を探します。
これはイエネコと同じですね。
妊娠期間は60〜67日程度で、通常は3〜4匹程度の赤ちゃんを生みますが、6〜8匹とたくさんの赤ちゃんを産むこともあるようです。
スナネコは通常年に2回、子供を産みます。
岩の間や砂を掘った巣穴などで母猫は赤ちゃんを生み、育てます。
生まれたての赤ちゃんは50〜60g。
普通のイエネコの赤ちゃんより小さいです。
赤ちゃんは約2週間後に目が開き、3〜4週間で足腰がしっかりしてきます。
5週間後に固形食を食べ始めます。
この辺の成長過程はペットとして飼われている猫と同じです。
しかし、スナネコの成長は普通の猫より早く、生後5ヶ月までに親猫ととほぼ同じくらいの大きさになり、独立するとされています。
成長が早いのはスナネコが生き延びるのが難しいためでしょう。
動物園で生まれた子猫は、生後30日まで生き残れたのはたった61%でした。
那須どうぶつ王国でも3匹生まれた赤ちゃんも生き残れたのはたった1匹でした。
私は保護活動をしていますが、日本にいる猫達でも飼い主がいない野良猫生活では、生まれた子猫が全滅してしまうということは珍しくありません。
毎年乳飲み子を育てますが、子猫は小さく弱いためにすぐに低体温になりますし、感染症にもかかりやすく、生まれてから3〜4週間の間は特に死のリスクは高いです。
小さな体で過酷な自然環境で生きるスナネコが無事に大人の猫になれる確率はかなり低いと考えられます。
スナネコの寿命は?
野生のスナネコは観察するのが難しいために、野生のスナネコの寿命ははっきりわかっていません。
動物園で飼われているスナネコであれば、10〜12年程度。
最長では18歳まで生きた子もいるようです。
スナネコの英語名は?
スナネコの英語名はそのままサンド・キャットです。
学名はFelis margaritaフェリス・マルガリータ。
フェリスは猫種という意味です。
可愛らしい見かけからマルガリータという学名がつけられたのかと思いきや、由来はフランスの将軍ジャン・オーギュスト・マルグリットにちなんでつけられたのだそうです。
フェリス・マルガリータと名付けたのはビクター・ロッシュという人で、動物の研究者だったようです。
ビクター・ロシュは 1856〜1857にアルジェリアに遠征したことによりスナネコを発見するですが、その遠征を率いた将軍をたたえて、学名にMargaritaと付けることを提唱したようです。
スナネコの研究が難しいわけ
野生のスナネコについての研究はまだ歴史が浅く、わからないことも多いようです。
初めてスナネコの研究が行われたのは1993年です。
比較的最近ですね。
まず、スナネコは小さいうえに、体毛が保護色となり発見しづらい。
さらに足の裏に密集した被毛が生えているために足跡を残しにくく、追跡するのが非常に困難でした。
そして、ウンチは全て綺麗に埋めてしまうので、食事に関するデータも収集が困難でした。
ネコ属にはテリトリーがあるのですが、スナネコのテリトリーは記録では16〜50㎢にもよびます。
これはスナネコがどこに住んでいるかにもよるようで、獲物を得やすい地域であればテリトリーは狭く、砂漠地帯など獲物を得るのが簡単ではない地域ではテリトリーが広くなるようです。
この研究結果をみると、小さいスナネコが広範囲のテリトリーを持たないと暮らしていけない厳しい暮らしが見えますし、こんなにテリトリーが広いのであれば、もうスナネコの発見自体が難しいのがわかりますね。
日本では動物園で見ることができる
スナネコはイギリス、ドイツ、イスラエルなどヨーロッパを中心とした動物園で飼育されていますが、そんなに数は多くありません。
日本では、那須どうぶつ王国、神戸どうぶつ王国で見ることができます。
他にもスナネコがいると謳っているところがあるようですが、きちんと正規の手続きを経て連れてこられ、適切かつスナネコにとって快適な環境で飼育されているところに行くべきですね。
私は動物園の意義を全否定はしません。
しかし、動物園の最低限の存在価値として動物達の暮らす環境、医療、福祉が整っているべき、動物達の命の尊厳を大切にすべきと思っています。
そうではないところにお金を落とすべきではないでしょう。
スナネコは絶滅危惧種?
スナネコはワシントン条約付属書Ⅱに記載されている動物です。
ワシントン条約は絶滅の恐れがあり取引を制限する必要がある動物を付属書に記載し、取引を制限しています。
「国際取引を規制しないと絶滅のおそれのある種が掲げられており、商業目的の取引はできますが、輸出国政府の管理当局が発行する輸出許可書が必要です。」
ワシントン条約 : 税関 Japan Customs
スナネコは以前は準絶滅危惧種として登録されていましたが、現在では喫緊の絶滅のリスクはないとされたようなのですが、元々の個体数がよくわかっておらず、さらにスナネコの違法取引などが多くなってきている中で、依然としてリスクは高いという意見もあり、繁殖に取り組んでいる動物園もあります。
しかし日本の動物園でも、子猫の死亡率が高いように、世界に的に見ても動物園の繁殖成功は少ないのが現状です。
スナネコが絶滅してしてしまったと考えられるイスラエルでは、人間によって繁殖されたスナネコを自然に返す試みもされましたが、野性の環境下で生き延びることができず、残念ながら、人口で飼育し野性のスナネコの数を増やすことはまだ成功していません。
スナネコの飼育は難しく、生まれた子猫の死亡率が高い、生息する環境が厳しいなどのことから、一度減ってしまった数を回復させるのは本当に難しいことだとわかりますね。
砂猫が絶滅が危惧される理由
違法な取引の犠牲になるスナネコ
スナネコの絶滅が危惧される理由、その大きな原因は人間です。
準レッドリストであったスナネコは多くの国が捕獲を禁止していますが、一部の国では禁止されておらず、違法な取引も行われています。
禁止されていない国、サウジアラビアやイラクでは捕獲され、ペットとして売られていることもあるようですが、その子達が生き延びるのは難しいようです。
日本でも近年スナネコが知られるようになったせいか、違法な輸入が行われており、たくさんのスナネコが闇で殺されてしまっている現実があります。
[http://珍しい動物を殺すのは誰か。偽造の衛生証明書による輸入でスナネコの殺処分が行われていた│PEACE 命の搾取ではなく尊厳をanimals-peace.net
この報告を見ると、日本にもたくさんのスナネコが輸入されていることがわかります。
しかも、ほぼ全てが「野性」と記載されているので、野性のスナネコが捕獲されて輸入されています。
そして、こんなにたくさんのスナネコが日本に輸入されているのに、現在日本で存在を確認できるのは数匹のみです。
他の子は一体どうなってしまったのでしょうか。
違法取引であることが判明し、全頭が殺処分になってしまった例もあります。
自分の住んでいるところから略奪されて、こんな遠い島国まで連れてこられた挙句、殺処分。
こんなに不毛なことがあるでしょうか。
こんなに罪深いことがあるでしょうか。
那須どうぶつ王国と神戸どうぶつ王国が輸入したスナネコはちゃんと生きて暮らせているようで、この点だけ、安心できます。
この子達も野生で捕獲され連れてこられた子達なので、幸せな猫生を全うさせる義務がどうぶつ園にはありますね。
人間によって殺される
スナネコは小さいので肉食獣とはいっても、他の動物、オオカミや大型のネコ科の肉食獣に捕食されるリスクが高いのですが、その他に人間の罠や毒で殺されたり、銃で撃たれたりして殺されるリスクもあります。
また、人間の活動場所が拡大しスナネコが住む場所とバッテングすることによって、人間に飼われている犬や野良犬に殺されてしまうということも起きています。
そしてこれもスナネコの数を減らす原因となっているのです。
伝染病
イエネコの間で流行している伝染病が野性の猫種を脅かししている現実もあります。
捕獲されたスナネコが猫白血病に感染していたという報告があり、これは白血病に感染したイエネコと接触したことによると考えられます。
人間の活動範囲がスナネコの棲息地域を侵食することにより、イエネコとスナネコが接触することが多くなってしまいました。
人間の飼い犬や野良犬によるスナネコ殺害も同じ理由で起きています。
スナネコの飼育は難しい
「砂漠の天使」などと聞くと飼いたくなってしまう人もいるかもしれませんが、スナネコの飼育はとても難しいです。
日本で生まれたスナネコの例を見ても、生存率が高くありません。
世界的に見ても繁殖に成功しているところは少ないです。
どんなに可愛い見かけでもスナネコは野生の猫です。
ペットとして飼われているイエネコのように、完全に人に懐くということはないと言われています。
爪や牙は鋭く、狩猟本能も旺盛なので、不用意にさわれば大怪我をする危険もあり、素人が好奇心で飼えるものではないでしょう。
また、スナネコを健康的に飼育することも難しいです。
現在、動物園で見ることができるスナネコは多くは繁殖されたものではなく、野生から捕獲された子達です。
捕獲され、今までと全く違う環境に置かれ、さらに複数の国を経由し、長い距離を移動させられる。
大変なストレスです。
このような状況下ではスナネコでなくても、呼吸器疾患や感染症を発症しやすくなりますが、捕えられたスナネコ達はそのような病気を発症しやすすく、多くの子が命を落としてしまいます。
スナネコはその名通り砂漠地帯に住み、乾燥した環境に適応したネコです。
スナネコを飼育するには厳密な湿度と温度の管理が必要なのです。
また、スナネコは聴力がとても優れています。
野生で暮らしていれば、静寂の砂漠で自然の音だけに囲まれて過ごしていますが、人間の世界に連れてこられれば、様々な音がより大きくスナネコには聞こえてしまうでしょう。
人間と一緒に暮らすのが当たり前のイエネコであっても、騒音が著しい環境ではストレスが大きいことがわかっています。
イエネコよりも耳が良いスナネコには静かな環境が必要です。
これらのスナネコに適した環境を準備するのは一般の人にとっては難しいことですね。
スナネコが幸せに生きられるために
最近、ニュースでスナネコが報道されるのを目にするようになり、スナネコとはどんなネコだんだろうかという興味からこの記事を書きました。
スナネコの魅力とともに、スナネコに迫っている脅威についても知ることができました。
日本は動物取引の規制や動物愛護の規制が緩いために、個人で飼育できてしまったり、〇〇カフェが流行ったりと(〇〇カフェには虐待だと指摘されているところも少なくありません)、野生動物が捕獲されてしまう原因になってしまっている面があります。
その動物の幸せを考えることこそ、真の動物好きと言えるのではないでしょうか。
先日テレビにスナネコが出ていました。
人間の飼育下で生まれた子のようでケースに手を差し入れる形ではさわれるようでしたが、やはり野生が強いのだなと感じました。
またそのテレビでは絶滅危惧種として紹介されているにもかかわらず、そのスナネコを連れてきた人は将来的にスナネコを販売したいなどと言っていて、非常に違和感を感じました。
スナネコがコツメカワウソのようにならないことを祈ります。